後藤加代子の悠遊レポート・特別編 / 「航研機・レプリカ」連載 ==> / / / / (最終回)

航研機レプリカ 主翼に銀色塗装進行中
2002/10/05
場所:福岡県大牟田市/(株)アルム

航研機1/10模型。主翼の赤が際立つ。(航研機復元プロジェクトニュースレターVol.1より転載)

塗装中の主翼は、銀色塗料の飛沫で白煙の中にいるよう。手前はドープ乾燥中のエルロンなど。低く組まれたパイプから物干し状に吊された。その奥に銀装された主翼上面が見える。

胴体ではアルミ製外板張り付け作業が順調に進む。窪み部分にエンジンが収まる。

胴体外板張り作業。外板は下から上へ、尾翼側から機首側へ張っていく(魚の鱗のように)。2人1組で胴体下部に潜り込んで、リベットを打つ位置を決める。突起は外板張り用の仮止めリベット(クレコファスナー)。

10月初旬、大牟田/(株)アルムの工場では、航研機レプリカが主翼・尾翼回りの羽布張りをほぼ終え、まず主翼が、UVカットの銀色塗料(アルミ粉塗料)による塗装に入っていた。前回真っ白だった主翼は現在は金属を思わせる銀色の鈍い光を放つ。

塗装を担当するのは船舶塗装の専門家3人。コンプレッサーから送り出されるエアーによる霧吹きで、主翼に銀の塗料を吹き付けていく。工場内は周りに青色のビニールシートを張り巡らせ防塵するも、吹き付けられる銀色塗料は細かい粉塵となってシート内の空間を灰色に煙らせ、揮発性溶剤のにおいもかなり強い。

作業者は防塵マスクで防御する。主翼はこのあと1週間ほどで外翼赤色部分の塗装に入る予定。航研機主翼の広い翼面を人の手で均一に塗装していく作業は、環境・作業に伴う動作共に相当に厳しいものがある。実機製作当時にも似たような光景が見られたのだろう。

ラダー、エレベーター、エルロン、タブなどはまだ羽布張り工程にあり、ドープ塗装を続行中である。それらは、人の背丈ほどに組まれた物干し竿状の鉄パイプから針金で吊され、洗濯物よろしくドープの乾燥を待つユーモラスな姿を見せている。

製作工程には現在ほぼ半月の遅れが見られる。羽布張りの段階で、使用した羽布に問題があり、張った羽布が波打つ状態になったためである。羽布に求められる精度は、試作段階である程度の確認はできるが、実際に広い面積を張る際には、思いがけない狂いが生じるのも現実のようだ。現場が苦労する場面。作業の遅れは逐次回復しつつあり、年内には解消の予定。

胴体の進行状況

前回から引き続いて外板用金属板の取り付けが行われている。胴体の下に潜り込んで仰向けになり、金属板にリベットを等間隔に打ち込むための印付け作業が2人1組で行われていた。

新しいところでは、航研機特有の形態を持つエンジンカウル(エンジンの覆い)がアルミ板で形成され始めた。資料が確定できず、1/10模型製作時にもその成型にかなり苦労があった部所。また、復元が終わった冷却機なども(株)アルムに集結した。

●塗料色の選定
航研機の塗装部位の色の決定も難問であった。正確な記録はまったく残っていないため、プロペラに関しては、試験飛行時に見たという本プロジェクト・時代考証専門家会議メンバーの記憶を頼りに選定された。主翼の赤は、実機羽布の破片(7mm×35mm)が残っており、これを参考にして色決めを行った。主翼塗装用の赤、プロペラの茶も、テストピース段階での各色の差は、極めて微妙なものであった。

●今後の予定
塗装作業・胴体製作が終わると、早ければ12月末に仮組の予定。2月の完成式目指して年末年始は追い込みが続くことだろう。次回は設計・製作担当者を取材予定。

エンジンカウル側面。

1/10模型のエンジンカウル。エンジンのシリンダーが上側にあるため、このような形状に。

航研機の特徴である引込み式主脚の仕組みを解明したモデル((有)前田航研にて)

エンジンカウル正面。独特の形態が徐々に姿を現した。

主脚を支持するリブ(No.9リブ)。右側の主桁と左の後桁に緊結固定されている。

完成した主脚フォーク。

完成した主脚タイヤ。直径1,100mm。最大幅400mm。スリックタイヤ。
▼参考文献
『航研機復元計画』青森サイエンスブックレットvol.5  
((財)日本科学技術振興財団 2001)
▼関連リンク
青森県立三沢航空科学館(仮称)
http://www.pref.aomori.jp/kokukagaku/




撮影協力:小田切勲氏
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