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10月初旬、大牟田/(株)アルムの工場では、航研機レプリカが主翼・尾翼回りの羽布張りをほぼ終え、まず主翼が、UVカットの銀色塗料(アルミ粉塗料)による塗装に入っていた。前回真っ白だった主翼は現在は金属を思わせる銀色の鈍い光を放つ。
塗装を担当するのは船舶塗装の専門家3人。コンプレッサーから送り出されるエアーによる霧吹きで、主翼に銀の塗料を吹き付けていく。工場内は周りに青色のビニールシートを張り巡らせ防塵するも、吹き付けられる銀色塗料は細かい粉塵となってシート内の空間を灰色に煙らせ、揮発性溶剤のにおいもかなり強い。
作業者は防塵マスクで防御する。主翼はこのあと1週間ほどで外翼赤色部分の塗装に入る予定。航研機主翼の広い翼面を人の手で均一に塗装していく作業は、環境・作業に伴う動作共に相当に厳しいものがある。実機製作当時にも似たような光景が見られたのだろう。
ラダー、エレベーター、エルロン、タブなどはまだ羽布張り工程にあり、ドープ塗装を続行中である。それらは、人の背丈ほどに組まれた物干し竿状の鉄パイプから針金で吊され、洗濯物よろしくドープの乾燥を待つユーモラスな姿を見せている。
製作工程には現在ほぼ半月の遅れが見られる。羽布張りの段階で、使用した羽布に問題があり、張った羽布が波打つ状態になったためである。羽布に求められる精度は、試作段階である程度の確認はできるが、実際に広い面積を張る際には、思いがけない狂いが生じるのも現実のようだ。現場が苦労する場面。作業の遅れは逐次回復しつつあり、年内には解消の予定。
胴体の進行状況
前回から引き続いて外板用金属板の取り付けが行われている。胴体の下に潜り込んで仰向けになり、金属板にリベットを等間隔に打ち込むための印付け作業が2人1組で行われていた。
新しいところでは、航研機特有の形態を持つエンジンカウル(エンジンの覆い)がアルミ板で形成され始めた。資料が確定できず、1/10模型製作時にもその成型にかなり苦労があった部所。また、復元が終わった冷却機なども(株)アルムに集結した。
●塗料色の選定
航研機の塗装部位の色の決定も難問であった。正確な記録はまったく残っていないため、プロペラに関しては、試験飛行時に見たという本プロジェクト・時代考証専門家会議メンバーの記憶を頼りに選定された。主翼の赤は、実機羽布の破片(7mm×35mm)が残っており、これを参考にして色決めを行った。主翼塗装用の赤、プロペラの茶も、テストピース段階での各色の差は、極めて微妙なものであった。
●今後の予定
塗装作業・胴体製作が終わると、早ければ12月末に仮組の予定。2月の完成式目指して年末年始は追い込みが続くことだろう。次回は設計・製作担当者を取材予定。 |