本書・まえがき
日本海軍機の第一号は大正元年11月6日に神奈川県追浜の地で初飛行したモーリス・ファルマン式小型水上飛行機であった。以後,昭和20年8月15日の終戦により活躍の幕を閉じるまで,日本海軍はさまざまな飛行機を使用してきた。
個々の機体を見れば,海軍航空の主力機として活躍した傑作機もあれば試作のみに終わった失敗作もあった。また,同一機体でも見方によっては評価が異なってくるものもあるが,総体的に見て,同時代の他国の海軍機より優れたものや時代の先端を行くものも少なくなかった。
こうした,さまざまな海軍機の中から兵器として制式採用された機体=制式機=を選んで紹介したのが本書である。機種選定にあたり,制式採用はされなかったが量産されたものや実用に供されたものも含めた。しかし,十年式水上偵察機のように制式機を思わせる名称はつけられているが,採用にいたらなかったものは割愛した。
それぞれの機体について,計画開始から実用状況にいたるまでの経過,構造,性能などを詳細に述べ,写真,図面を豊富に掲載するのが理想的であるが,反面,厖大になりすぎて一目瞭然というわけには行かなくなるという不便さも生じる。
こうしたことを勘案し,本書では2ページ見開きに各機の解説,データ,使用部隊,搭載艦船,写真,図面を収録するという形式をとり,データベース的なものを狙った。このため,解説は簡単にならざるをえなかったが,できるかぎり未紹介の事項を盛り込むように努力した。
データは出所によって異なるものがあるが,海軍の資料による公式データを中心とし,メーカー側の資料で補足修正するという方法をとった。
巻末の海軍の航空部隊,航空母艦,水上機母艦,航空発動機の一覧表はできる限り正確を期したが,一次資料の欠如などにより不明の箇所が生ずるのは避けられなかった。こうした点などについては他日補正したいと考えているので,不備な点や誤りについてご叱正,ご教示いただければ幸甚である。
執筆にあたり使用した資料は,筆者が多年にわたり調査収集してきたもので,これらの調査や収集にあたっては,個々のお名前は省略させていただくが,非常に沢山の海軍航空関係者や航空技術者の方々のご指導をいただいている。
そして,本書の編纂にあたっても元川西航空機の堤 勝氏をはじめとする諸先輩や友人から種々ご指導をいただいた。また,防衛庁戦史部防衛図書館の方々や三菱重工株式会社名古屋航空宇宙システム製作所史料室長岡野允俊氏には,貴重な資料の閲覧にあたり,一方ならぬお世話になっている。
末尾ではあるが,これらの方々や快く写真,図面を提供していただいた方々,編集にあたられた酣燈社「航空情報」編集部の鈴木正治氏に謝意を表する次第である。 |