Minoru Matsuba vs Toyoaki Miyata

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松葉 稔

宮田豊昭

スカイネット・ワン編集部

空中戦の極意 

戦闘機パイロットだった先輩の上原さんの話だけれど、撃墜するのに一番いいのは、相手がもう敵はいないと思って安心して飛んでいるところを、下から密かに上昇しながら近づいていって真っ直ぐ撃つこと。 飛行機もヘリコプターもそうだけど上昇しているときが一番安定している。エンジンは馬力いっぱい使ってる、だけど機体は遅いの。そういうときが一番安定している。だから一番命中率がいいわけ。

しかも飛行機というのは、どてっ腹が一番弱い。あけっさらしで防御がないわけ。そこを狙うのがいい。

上原さんが言うには、その時が来たら足をチャチャチャと踏む。そうすると銃の弾がばらけるから必ず命中する。そのチャチャチャが難しいんだな(笑)。

新陰流ですね。

「空中戦で、旋回しながら撃つなんてのは、そんなのはダメだよ。まず弾は当たらないし、日本では戦闘機はそれがいいっていわれているけれども、オレはそんなことして撃墜したことはない」って上原さん言うんだよね。

なるほどパイロットの証言ですから、実感がこもってますね。

当時は照準機が良くなっかったでしょ。旋回して追いながら、予測して射撃をしなければならなかった。いまは照準機が良くなって、自分の機速なんかをあわせればコンピュータが計算してくれて、どっち向いて撃てばいいということのを指示してくれるけれど、昔はそんな便利なものはなかった。

操縦術はもとより射撃術も身につけなければならなかったんですね。

昔は照準機の役割を頭でやったわけ、自分の撃った弾が敵機に命中するまでの弾道を「パッ」とイメージできないとダメなわけ。玉突きと同じよ。

ビリヤード、ハスラーですね。

そう、だから感の問題よ。ハルトマンとかマルセイユというドイツの名人がいるんだけれど、その人たちは、修正角40度、射程1,000メートルくらいで撃っても弾は当たるという。けどそういう名人は、だいたいいないよね。

いないでしょうね。

坂井三郎でも上原さんでも、まあたいていの人に聞いても、ぶつかる寸前のところまで近づいて、銃を相手に突きつけて撃たなきゃ当たらないといっている。

敵の懐に飛び込むということね。

そこまで行くのが大変なの。

B-29にそれをやった。夜間戦闘機でどてっ腹に潜り込んでね。B-29はサーチライトに照らされて、地面を見てるから、サーチライトの光でまぶしくて自分の近くの下はよく見えないでしょ。それで、すーっと近づいて、斜め銃でね。下からパンパンパンパンと撃った。

月光ですか。

月光とか屠龍とか、それから100式司令部偵察機3型改防空戦闘機。

[いかに発見して、有利に占位するか]

空中戦というのは、発見・占位・攻撃・離脱(機動)というように、シーズになってるわけ。密かに近づいていくというのは、敵が発見しないうちに自分が発見すること。それから射撃できるところへソーっと近づいてく。 それから撃つ。それから機動が入る。撃って仕留められなければ、つまり決定的にならなければ、そこから空中戦闘が始まる。でもそこからじゃあなかなか相手を倒すことはできない。

やっぱり最初の一撃ですよね。

うん、発見と占位。つまり射撃位置にスーッと近づいていくことをいかにうまくやるということで決まる。だいたい撃墜の80%は、それをうまくやって第一撃でほとんど勝負はついている。それからチャンチャンバラバラやって、敵を撃墜できるというのはね、せいぜい20%くらい。

まあ、そうでしょうね。

日本は海軍も陸軍も、その20%に一生懸命だった。アメリカやとくにイギリスは、そんなことはもういいと、いかに発見して、いかに有利に占位をするかということを、一生懸命考えたんですよ。つまり80%にウェイトを置いた。だからタイフーンなんて飛行機が出てきて勝つんだよ。要するに敵が対応する形になる前に、自分の一番いい形に持ち込んじゃうってこと。

自分の土俵に上げちゃう。

そうそう、で、敵の土俵になりそうになったら、逃げる。

賢いですね。

敵に発見されにくいように、いつも必ず敵より上にいること。必ず太陽を背にして占位し攻撃すること。それがまず鉄則。
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