Minoru Matsuba vs Toyoaki Miyata

002

松葉 稔

宮田豊昭

スカイネット・ワン編集部

グラマンF4Fワイルドキャット
Grumman F4F-4 Wildcat
グラマンの脚へのこだわり

私が好きなのはズングリムッチリ。

この前身のF3F、F2Fは、それはもう複葉のズングリムックリのお化け。山猫一家です。

グラマンという会社はトムキャットで有名だけど、脚にものすごくこだわりがある。元々グラマンはちっぽけな会社だったんだけど、アメリカ海軍の水上機を水陸両用にしてくれといわれて、脚をフロートの中にしまうのにどうしたらいいか考えた。それが非常にうまく行ったもんだから脚にこだわった。 F-14トムキャットの脚も、たぶんね他の飛行機の脚と違うと思うんだ。飛行機の脚について日本のメーカーとか設計者は、あんなもの飛ぶのにはなくたっていい、必要悪だと思ってんだな。鳥もそうでしょ、アホウドリなんかは典型だよね。

だいたい降りるのがへた。脚はなくちゃ降りられないから付けているだけというね。

そう、なくたっていいという発想なんだ。ところが、グラマンは脚が大事だと。だから発想の仕方が脚にあわせているんですよ。そこが私好きなんですよ。パイロットの腕は離着陸回数ですからね。

グラマンは複葉機で引込脚を最初に採用しましたから、それはポリカルポフより早いんですよね。

そのグラマンが考えた脚の最後がF4Fワイルドキャットなの。

一番最初のグラマンの単葉戦闘機ですね。単葉になったけれど脚だけはそのまんまという機体。

グラマンのそれ以降の飛行機は、全部脚にこだわりがあるんだよね。その後のF6Fなんてのは、脚をくるっとねじってね、後ろへ引っ込んじゃう。だから、鳥と一緒だね。

うん、凝ってますよね。F8Fも脚が長すぎてそのままじゃ入らないから、一度折りたたんでから、しまうという凝ったことをやっているし。

という以上にね、一番初めにゼロ戦をノックアウトしたのはF4Fなんだ。

そうですね。

今でも日本の設計者たちは、比較すると、飛行機としてはゼロ戦の方が遙かに優れているというんですよ。ところが、アメリカ海軍も海兵隊も、F4Fの方がゼロ戦より優れた武器であるというんですよ。飛行機と武器、そこの発想の違いというものがある。それは、日本は陸軍も海軍も「戦略・戦術・戦技」というと、戦技のレベルでしか考えない。 だから1対1で空中戦をやったら、たぶんゼロ戦の方が強いんだよね。ところが、その上の戦術とか戦略になったら、圧倒的にダメなアメリカの飛行機の方が強くなっちゃう。私がこの飛行機が好きなのは、日本の評論家に対してアンチという意味もあってね。

宮田パイロットだったらどっちですか?

これは非常に・‥なんだけれども、たぶんF4Fを選ぶと思う。

それはどういう理由で。

F4Fのエンジンは直径が大きいんだよもの凄く、それにもかかわらず胴体を太くして、操縦席をぐっと上げてあるんだよね。だから中翼で視界が悪かったろうと思うんだけれども‥‥。名人には遠かったから。

さっきも言ったようにF4Fは脚をそのまま残しちゃったから低翼にしたくても、脚の上に翼をつけなければならないから、中翼になっちゃった。でも空力的には中翼はいいんですよ、抵抗が少なくて。 ただ宮田さんが言われるように視界がね、翼が上に上がっちゃうから、操縦席から見るとちょっと翼がじゃまになって、前下方視界があんまりよくない。だから初めは胴体の下に窓つけて、操縦席から見たっていうんだから。

アメリカ海軍のその前のブリュスターのバッファローは、操縦席の下に窓があったんだよ。着艦するときには、どうしても下が見えないといけない。

[戦闘機は機銃の射撃台]

そうそうバッファローも下に窓がついていた。視界の問題はあったにしてもF4Fは扱いやすいし、実用性は抜群に良かったでしょうね。それと、グラマンは別名がグラマン鉄工所というあだ名があるくらい丈夫にできているんですよ。 少々のことじゃあぶっ壊れない。それからこの飛行機は、脚がたとえ出なくても胴体着陸で降りられる。だから宮田さんが言われるように、パイロットにとってはありがたい飛行機なんですよ。

それに防弾もしっかりしてるしね。私みたいにへたくそなパイロットは、たぶん撃たれると思うんだよね。前にはでかいエンジンがある。前から撃たれたって、エンジンはやられるかもしれないけれど取り敢えずは大丈夫、後ろから撃たれても防弾板の陰に隠れてね・‥。

それはいいですね、宮田パイロットが乗っても安心です。

戦闘機というのは別の言い方をすれば、機関銃を乗せる発射台なんですよ。敵の方に向けて機関銃を発射して命中させないと、敵は落っこちない。だから、発射台がしっかりしてないとダメなんです。 狙ったチャンス、ここだったら当たるという時間は、1秒か何分の1秒しかないわけでしょ、その間に何発命中弾が発射できるか、数出るやつが強いんですよ、数少ないと当たる確率も減るでしょ。

やっぱり空中戦というのは、大変だったんですね。

それはそうよ。時速何百キロで飛びながら、やるんだから。

それは大変なもんですよ。翼に機銃をつけてると。ダーッと旋回して荷重がかかると翼が捩りよれる。そうすると機銃も一緒によれてしまうから、弾が真っ直ぐ飛ばなくて、バラバラばらけちゃうから、なかなか当たらない。だからグニャグニャしない、しっかりしている胴体についてるのが本当はいい。

アメリカやなんかの飛行機は、機関銃の発射速度が決まれば、今度は弾数が問題になるわけ、だから、どんどん機銃を積んでいくんですよ。とくにイギリスの、松葉さんがあげられたタイフーンなんてね、もう12挺なんて凄いの。

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